実体験を通して成長できるTOKYO GAME SHOW

TOKYO GAME SHOWに参加することで得られる経験

 TOKYO GAME SHOWに参加することで主体的に学ぶことや計画性、そして仲間と共に意見を出しながら高め合う経験ができると考えています。学生たちのつくりたいものや興味を持っていることに関しては、まだ授業で習っていなくとも、インターネットで記事を検索したり、YouTubeなどの動画を見たりして自分で学びながらプロジェクトを進めることができています。普段から自主的な学びを大切にしてほしいと思います。

 一方で教員側としては、学生の自主性による開発活動が特に大切だと思っています。教員たちは学生にあえて積極的に関与せず、自分たちで自ら取り組む機会にしたいですね。「もう少し頑張ればここまで進められたのに」と後から悔しい思いをしたり、他の努力している学生を見て「あの人たちは素晴らしい」という気持ちを身近に感じることは、学生自身にとっても良い経験となるのではないかと思います。

 実は昨年(2022年)、多くの学生たちが作品をギリギリでつくり上げる状況だったため、動作確認やテストを行う時間が足りないという事態がありました。そのため教員側としてはスケジュールに沿って適切に組み、開発段階で何度かチェックポイントを設けるようにアドバイスしています。開発途中で何度か学生全員が集まってお互いのゲームをプレイし、意見交換や改善点の洗い出しを行う時間を実際に設けています。期限を設けることでスケジュールの管理もでき、何度かお互いにチェックしあうことでクオリティも上げられる機会になったのではないかと思いました。タイトなスケジュールの中で作品を仕上げることは大変ですが、TOKYO GAME SHOWへの出展経験が大学生活の中で力を入れたことのひとつになってくれたら嬉しいなと思っています。

愛知工業大学の作品の魅力

 愛知工業大学の作品の魅力はインターフェースです。例えばルービックキューブを利用するゲームや、中華鍋を振ってプレーするゲーム、将棋の駒を指す動作をインターフェースとして活用しています。また、筆を使用した操作や、こたつに入る動作を組み込んでこたつの中の足の動かし方で操作する方法などさまざまなアイデアも採用されました。このような日常生活の動作をインタフェースとしたコンテンツ開発は、他にはない愛知工業大学の作品の魅力だと思っています。

スクーミーの魅力

 スクーミーボードは、同軸ケーブルのはんだ付けなどの手間も必要ないことや、ブレッドボード(※1)も不要なため、難しい部分が排除されており使いやすいと思いました。ちょっとしたものをつくる際には、スクーミーボードとPC、センサーを直接接続するだけで動くのも魅力的です。プログラミングやマイコン制御(※2)を学ぶ際にも、実際にプロトタイプ(※3)をつくる段階で手軽に実装できるというのもいいですね。低いハードルで学習やプロトタイピングを行えることが、スクーミーの魅力だと感じました。新しくプログラミングを学びたい子どもたちにとっても、気軽に始められるのではないかと思います。

※1 各電子部品線をボードの穴に差し込むだけで、 はんだ付けをしなくても、手軽に電子回路を組むことの出来る基板

※2 電気機器を制御するための小さなコンピュータ

※3 動作や機能を検証するために最小限の規模でつくられた試作品

愛知工業大学 情報科学部 助教
小栗 真弥 氏
立命館大学 情報理工学部 卒業。
名古屋大学大学院 情報科学研究科 博士前期課程修了。
同大学 情報学研究科 博士後期課程修了 博士(情報学)、協力研究員を経て、
現在は愛知工業大学 情報科学部 講師。
専門は社会情報学、メディア情報学。
伝統文化や文化財を活用するためのデジタルコンテンツ開発や、地域課題解決のためのデータ分析、可視化に関する研究を行っている。

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