愛知工業大学6回目の挑戦
愛知工業大学としてTOKYO GAME SHOWに出展するのは、今年(2023年)で6回目になります。2017年より前からすでに東京のいくつかの大学で出展しており、その中で東京工科大学も出展していました。東京工科大学の教員から出展ができることと、出展するメリットなどもたくさん伺っていたので、2017年に私の研究室単独で出展してみることにしました。
2017年はピロピロ笛や掃除のときに使うコロコロを取り入れた作品。2018年には研究室のメンバー5、6人の学生が加わり、大玉転がしや消臭スプレーなどをインターフェース(※2)とした作品をつくりました。2019年には松河先生の研究室の学生も加わり、更に人数が増えていったのです。2020年は新型コロナウイルスの影響で中止となってしまったので、2021年に再度出展しました。この年は、全体的にTOKYO GAME SHOWの開催規模を小さくしての開催でした。2022年からは新型コロナウイルスの影響が少し落ち着いてきたためか、授業などで出展したい人を呼びかけたら60〜80人増えました。今年(2023年)の出展では、100人ほどの生徒がTOKYO GAME SHOWのプロジェクトに参加してくれています。愛知工業大学のTOKYO GAME SHOWの活動が徐々に大規模になって、多くの学生を巻き込むことができるイベントへと変わってきていますね。
反応の良さ=おもしろさ
体験型コンテンツを考える際に、反応の良さというものがおもしろさにつながるのではないかと思っています。そのため、自分の操作に対して明確に反応が返ってくるということは、おもしろいと思われるゲームでは欠かせないことと言えるでしょう。例えばステップを踏む動作があるゲームとかも、そのステップの動きの変化に対していかにリニアに画像の動きが変化していくかということを意識させました。愛知工業大学の学生が開発するゲームは、身近にあるものを用いて斬新なインタフェースをつくり出すことが特徴です。しかし、使用する道具に関するアイデアばかりに意識が向き過ぎてしまっている生徒が多かったため、その道具をどのように使えばゲームとしておもしろくなるかなど、視野を広げて考えるように指導をしました。実際にTOKYO GAME SHOWでゲームを展示する際には、基本的にはお客様がゲームプレイを楽しむことを一番に考えて開発する必要があります。学生たちには、自己満足ではなくどうしたらお客さんが楽しめるゲームをつくれるかという点もしっかり吟味し、ゲーム開発に臨むようにとも伝えています。
スクーミーの魅力
スクーミーボードは手のひらサイズで使いやすいことが大きな魅力です。愛知工業大学のように身近なものをインターフェース化した作品では、コントローラーにセンサーやマイクロコンピュータを付けなければなりません。そのため小型のスクーミーボードは、大変使いやすいのではないかと思います。センサーも種類豊富で何かをつくろうと思った際にも使えるセンサーを選ぶことができます。さまざまなセンサーの中から、ゲーム自体を発想するきっかけにもなるでしょう。
※1 人間が何かアクション(操作や行動)をした時、相手側のシステムや機器がそのアクションに対応したリアクションをすること
※2 2つのものが接続し、両者の間で信号などをやりとりするための形式や手順
愛知工業大学 情報科学部 教授
水野 慎士 氏
名古屋大学大学院工学研究科 博士後期課程 修了後、
豊橋技術科学大学情報メディア基盤センター 助教、愛知工業大学情報科学部 講師、准教授を経て、
現在は愛知工業大学情報科学部 教授。
コンピュータグラフィックスやインタラクション(※1)に関する研究およびそれらの技術を応用したデジタルコンテンツの開発を行っている。

