社会に直結するITスキルを身に付ける
弊社は、自社開発したプログラミングができるアプリケーションと小型コンピュータ(スクーミーボード)を多くの人に使ってもらい、昨今の社会課題であるIT人材の不足と、子どもたちの自己肯定感の低下を解決したいという思いで、IT教育事業を行っています。「今、自分が欲しいものを、今、自分でつくる世界」をコンセプトに掲げ、「こんなものがあったらいいな」と思ったものを数年かけて勉強してつくるのではなく、今すぐ世の中に出現させることを目指しています。
そのためさまざまな工夫を凝らし、通常は何年もかけて学ぶようなITスキルが求められることを、1週間で実践できるくらい学習コストを下げています。費用面や時間面のコストをかけずとも成果を出せるスクーミーのコンテンツは、学業以外に優先しなければならないことがある子どもたちとは相性が良いと感じています。自分には何もできないと感じている子がいたとしても、学んだことで即社会にアプローチできるITのスキルを身に付け、「自分でも社会にコミットできるんだ」という自信を付けてほしいです。

TSAで、小さな成功体験を積み重ねる
TSAの子どもたちには、パソコン、スクーミーボード、センサーを貸し出し、当日授業に来たら必要なものはすべて揃っている状態にしています。このように私たちはテクノロジーの支援はできますが、それらを使ってやりたいことを考えるのは子どもたち自身です。TSAの校長である戸田達昭さんから「TSAを通してコンセプトをつくれる人材を育てたい」という話がありましたが、スクーミーでは課題を発見する力、分析する力、解決する力を養うことで、自らの手でコンセプトを「形にできる」人になってほしいと思っています。
「プログラミングは目的ではなく手段」とよく言われますが、実際にそういった意識を持つのは難しいですよね。スクーミーではこちらから目標を提示するのではなく、子どもたちから自然と目標が生まれるよう授業の導入を行い、それを達成するために学ぶという構造を意識的につくっています。
さらに、「こういうものが欲しい」という気持ちだけでは何も生まれないので、目標を達成するために必要な課題を分析し、その課題をどう解決するのか、過程をイメージする力が必要です。例えばChatGPTも、闇雲に質問をするのと、こういう答えが欲しいというイメージを持って使うのでは、得られる成果が全く異なりますよね。このイメージを持つためには、どんなに小さくても、自ら目標を立てて、自らの手でそれを実現させる。そのくり返しだと思います。このサイクルを子どもの頃から続けていれば、未来を担う即戦力の人材になれると思うので、TSAでもそういった小さな成功体験を積み重ねてほしいです。

「テクノロジー」という選択肢に出会う
IT教材の自社プロダクトを持ちながら、自分たちで教えることもできるのは弊社ならではの強みだと自負しています。これからの社会では、テクノロジーを活用して人の役に立つことのできる人間が求められるようになりますが、「テクノロジーを使って課題を解決する」という選択肢は人間が生まれ持ったものではありません。TSAや高校生向けプログラミング講座を通じてテクノロジーに向き合い、子どものうちからそういった選択肢があることを学んで、社会で活躍できる人材が育ってくれたらと願っています。そしてその中から、スクーミーで働きたいと思ってくれる人が現れたら、とてもうれしいです。ゆくゆくは、山梨県発のTSAという取り組みが、県外にも展開できるモデルになったら理想だなと思っています。

株式会社スクーミー 代表取締役CEO
塩島 諒輔 氏
高校卒業後、学習塾を立ち上げ、2020年10月に株式会社スクーミーを設立。仮想空間でアイデアを考え、仮想空間で生み出すという世界観のもと、「今、自分がほしいものを、今、自分でつくる」を実現させるべく、エデュケーション事業、プロダクト事業、プログラミング事業、メタバース事業、グッズ制作事業、メディア事業、データ事業を手掛ける。

