未来を担う子どもたちが、自ら生きる力を育める場所に

VPの電気は、地域課題を解決するエンジン

 ヴィジョナリーパワー株式会社(以下、VP)は、山梨県内に電力を供給し、地域課題解決の財源を生み出すために設立した会社です。起業・創業を活性化させ、山梨県に報いる「創業報県」をスローガンに、スタートアップへの支援や、文化・福祉領域への公共的な投資を行っています。そういった意味で、VPが供給する電気は、地域課題を解決するためのエンジンということもできるかもしれません。電力にこういった付加価値を乗せるのはある種の挑戦でもありますが、我々の大義に共感して契約してくださるお客様も多くいらっしゃいます。

 企業理念にのっとり、お客様にお支払いいただいた電気代の一部をフードバンク山梨に寄付する「FBでんき」というプランを設けています。しかしある株主の方より、外部から資金援助や食料支援をするだけでは、問題の抜本的解決にはつながらないのではというお話をいただいたことがありました。その言葉をきっかけに、被支援者が自ら生きる力を育んでいくための仕組みを考えるようになり、フードバンク山梨と有志の仲間たちと共に立ち上げたのが、TSAです。

TSAの意義

 共に社会を作り、未来を生きる仲間として、僕たちと子どもたちの関係は対等だと思っています。たまたま先に生まれ、スキルやツールを持っているのが我々であるというだけの話なので、支援や善意ではなく、未来を担う子どもたちに投資をする感覚でTSAに取り組んでいます。

 家庭の経済状況と子どもの学力には相関関係があることが明らかになっていますが、TSAでは子どもたちをエンパワーメントすることで、「貧困の連鎖」を絶ちたいと思っています。仮に貧困世帯の子どもたちがネガティブな思いを抱えているのだとしたら、そこにたくましい実業家たちの正のエネルギーを注ぎ込んで、圧倒的なプラスにしたい。そのためには「本物」が向き合う必要があるので、それぞれの分野で県内トップの実力を持った方々に、構成団体としてお声がけさせていただきました。

 プログラミングの授業では、子どもたちはスク―ミーボードを使ってさまざまなことを成し遂げており、「自分の力でLEDライトを光らせることができたね!すごい!」という具体的な誉め言葉が飛び交っています。成功体験を通して自己肯定感を高める装置としてスク―ミーボードは非常に有益だと感じていますし、TSAが学校でも家庭でもない第3の場所として、子どもたちの自己肯定感を高める一助になればと思っています。

コンセプトをつくれる人材に 

 小中学生の頃に抱いている夢のほとんどは、やれば叶えることができると僕は思っています。TSAでは社会を生き抜くための武器を提供するので、子どもたちには学んだITスキルやグローバルなコミュニケーションスキルを活かしつつ、「こういうものをつくりたい」、「こういう世の中にしたい」という目的、コンセプトを生み出せる人間になってほしいと願っています。自らコンセプトをつくり、それを実現するスキルを持った人材になれたら最強ですよね。そうして成長した子どもたちが、次の世代の子どもたちに同じような価値を提供する。こうしたプラスの循環が、きっと生まれると信じています。

 生まれた家庭によって環境に差があったとしても、それは決して子どもたちの責任ではありません。TSAという取り組みを知った方々が、こうした社会課題に対して自分にもできることはないだろうかと考えるきっかけになれば、とてもうれしく思います。

ヴィジョナリーパワー株式会社 代表取締役
戸田達昭 氏
2017年に設立した、山梨県内で電力供給を行う地域新電力。新電力として経済とエネルギーの循環を同時に満たすことで、持続可能な地域づくりに貢献している。創業報県をスローガンとし、起業創業や⼈材育成に取り組む。代表取締役の戸田達昭氏は、スタートアップアクセラレーターとして起業家育成や事業創造に力を注ぎ、現在18社の経営に携わっている。

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